固形物を食べない生活を数日だけして感じたことを書いてみる
生まれて初めてゆるく断食的なことをした。
この時期に熱中症と合わさってぶっ倒れても迷惑だし、日頃から乱れ気味の腸内環境も心配なので、1日1回~2回程度、豆乳を飲んだり、ヨーグルトなどを食べてたりをしているので、厳密に断食とは言えないかもしれない。
サプリメントと常用薬以外の固形物を口にしていない。
毎日飲んでたコーヒーも控えているし、お茶も飲んでいない。
1日目はお腹が鳴って仕方なかったが、時間の経過とともに空腹感は和らいだ。
お腹はたまに思い出したように鳴る。
頭がなんとなく重いとかはあるけれど、むしろお腹が重くない感じが軽やかで心地よい。
必ず健康診断でひっかかる、胃のためにもいいのかもしれない。
ちなみに、同居人には隠しているわけではないが、あえて言ってもいない。
そもそも気付かれてもいない。
ああ、お互いの食に対する興味ってそんなものよね。と思う。
そして日頃、どれだけ自分がいいかげんな食生活を送っていたかが分かる。
食べ物に失礼だ。もっと敬意を払おう、と考える。
私は食べることが子供の頃から大好きで、それはもう妄執と言っていいほど好きすぎて、肥満児だった。
親の目を盗んでどれだけお菓子やらおかずやらを食べたことか。
食べるものが見当たらなければ、自分で冷蔵庫にある食材を料理して食べた。
今思うと、ちょっと異常なまでに食べ物を求めていた。
初めてダイエットをしたのは高校生の時。
どうやったのかは忘れたけど、とにかくなんかやみくもに歩いたり、ひたすらにこんにゃくを食べたり。
かなりキツかったことを覚えている。
そのあとも幾度となくダイエットしてみたり戻ってみたり。
私は大人になり、基本体重計に乗らなくなった。
心が欲するものを欲するように食べるようにした。
例えば本当はお米が好きじゃない。だからお米を食べなくなった。
その分卵やお肉や豆という私の好物を食べたいように食べた。
次第に、異常な食への執着は薄らいだ。
◯◯せねば、という抑圧が余計によくなかったのかもしれない。
気づけばなんとなく、体はすっきりしたし、それをキープできるようになっていた。
肥満とかまでは言われなくなったし、人よりは太ましいとしても、まあそれはいいや、と思った。
モデルさんのようになりたいわけではない。(なりたくないわけでもないけど)
それが最近、どうも体が重い。顔も丸い。
心当たりはある。
加齢による基礎代謝の低下やらはもちろん、服薬の影響も。
ダイエットしようとは思わなかった。
ただ純粋に、食生活を変えていないのに不思議だなあ、いやだなあ、と思っていた。
鏡を見るたび、丸い顔にげんなりしていた。
そして必要に迫られた。2年前にイージーオーダーで作ったタイトなドレスがキツくてファスナーが上がらない。
ぐぬぬ。服が縮んだなんて訳はないのはわかっていた。
ラインを絞るために入っている、ダーツを外せばいけるけども。
いや、それも何かに負けたみたいでやだな。
いっそ違う服…いや、それはダメだ。周りとの兼ね合いもある。
そこで食べ物と距離を置いてみようかな、とふと思った。
痩せたかった、というよりは、純粋な執着の放棄。
断食は感覚が冴えて超体験ができる、ともよく聞くし。
中途半端に「これだけ食べていい」みたいなのもやめて、固形物は食べない。
それでとりあえずしばらく過ごすことを決めた。
普通に仕事もしているし、普通に習い事の運動もした。
毎日こだわっていた飢餓感へ応じることや、食への執着がどれだけ生活に関係がなかったかを感じる。
呼吸ひとつで、血が巡るのを感じる。
体をいたわる気持ちになる。
考えてみればうちの小さな家族たちも、とてつもない食の執着を持っていながらも、種としては1.2週間程度食べなくても全然平気らしい。
私はあの子達よりよっぽど生命力も強いし、蓄えだってある。
そりゃあ多少食べなくても平気だわ。
それを何をあんなに食べたい食べたいなってたのだか…食への執着からの解放は、こんなに楽になるものなのか。
なんだか食べるということに対して、もっとラフに楽しんで付き合いたいなあと思う。
例えば、一人で美味しいものを食べるんじゃなくて、大事な人と食べるから美味しいってこととか。
どんなに些細なものでも、もっと「味わって」「丁寧に」食べられるようになりたいなあ。
得るものが思ったよりも多かった。
断食、いいな。かっこよく言うと、ファスティング?
苦行でしかないと思ってたけど、そんなことは全然なくて。
楽しいものではないけれど、たまにあるといいかもしれない。
仕事にさえ行かないでいいなら、水だけで過ごしてみたいとすら思う。
そして読書をしたり、のんびりしたり、瞑想したりして一人で過ごすのだ。
そして無事、ドレスのファスナーは上がり、ことなきを得たのだった。
痩せたという感覚はまったくなくて、ただ浮腫みや老廃物が流れたような、すっきりした感覚はあった。
肌の調子も心なしかいいような気がする。
問題はここからである。
気づけば6日間固形物を食べていない。からの復食。
何から食べていいのかよく分からない。ネットを調べれば重湯だのと出てくる。
なんかなあ、なんとなく、お米や麺は心が乗らないなあ。
もっとこう、違うものがいいなあ。
やっぱり心に聞いてみよう。
味覚は鋭くなっている気がする。
そこから、残り物の野菜をたくさん煮て作ったスープを食べた。
水切りヨーグルトが蜂蜜入りに昇格した。
市販の冷製ポタージュやプリンも食べてみた。豆乳はお昼に飲む。
一番今の所しっくり来ているのは茶碗蒸し。
これなら冷たくても温かくても美味しいし、お腹も痛くならない。
そうして慣らしているうちに、日に日に食べられるものが増えていっている。
感覚が戻っていくその感覚も楽しんでいきたいと思う。
明日は人並みなランチを食べる予定。
はてさてどうなることか。