花は折りたし梢は高し

とにかくいろいろうまくいかねーなってことを書いていこうと思います。

ちっちゃいブランドやらの紙袋がなんとなく好きという話を書いてみる

ちっちゃい、上質な紙袋が好きだ。

サラサラした素材だったり、ツルンとした素材だったりして

紐が丈夫で、置いても自立するような紙袋。

 

それになんだか大きな、目に見えない物たちが

ぎゅーっと凝縮されてる気がする。

 

どうも暗い話を書くと元気がなくなるようだ。

最近鏡見ても顔色悪い、冴えない自分がそこにいる。

 

髪型も微妙。

肌色も微妙。

髪の毛もパサパサ。

コンビニのレジで49のピンクのボタンを押されても平然としている。

 

……これが老いか……

 

10代でファンデーションをやめて以来、肌は下地とパウダーはたくだけで貫いてきた。

それでも、お肌綺麗とか言われていたので調子に乗っていた。

独身時代はそれなりに「安くても肌に優しい」とか「マイナーだけど使い心地がいい」とかそれなりのこだわりがあった基礎化粧も少しずつ簡略化され、今では無印良品オールインワンのゲルのみ。

冬場は、あ、カサカサ、ニベアでも塗っとこ、ぺいぺい、みたいな。

おざなり程度にはやっていた美顔ローラーもかっさもご無沙汰、スチーム美顔器も引越し以来どこいったかね状態。

ピアスもしなすぎて薄皮張ってるし。

 

そういやここ3年くらいのお気に入りジョンマスターオーガニックも、使っている品数が減ってきている……

美容室に行ってトリートメントやヘッドスパ、クリームバスを受ける回数も激減。

ネイルサロン通いも去年引退。

 

これはイカンぞ。イカン気がする。

 

自分を可愛がる時間がまったくない。

そりゃあカサカサするわけだ。

お肌も心も乾いて当たり前だ。

 

そもそもアレだ。

職種としてもいかがなものか。

 

意を決して、お昼休みにデパートの化粧品フロアへ行くことにした。

 

こういうところはあんまり得意じゃない。

そもそもエステとか、美容室とか、ネイルサロンも、本当はあんまり得意じゃない。

武装しないと行く気にならない。

 

ずいぶん前に書いたけれど、私は以前本当にアレな見た目だったこともあって、「美しくなる」場所が根本的に苦手なのだ。

「そういうの、別に興味ないですし」って距離を置くことで、自分を保っていた過去がある。

「美しくなる」「可愛くなる」のスタートラインに立つことすらおこがましいと思っていた。

 

コスメデビューの時はドラッグストアで買うことすら恥ずかしくて、コンビニで買った。

家族は「化粧なんてしないでいい!」「色気づきおって」みたいな雰囲気だから、教えてと言い出せず、「初めてのお化粧」みたいなムック本を、エロ本を買う高校生のようにこそこそ買った。

デビュー当時は部屋の中に隠して、化粧をした時は親に気づかれないように出かけたりしていた。

もちろんデパートなどには行けるはずがないから、もっぱら使うのはチープコスメばかりだった。

(で、肌にブツブツができて病院に行ったことで家族にもバレ、10代にしてファンデをやめた。)

洋服を買うのもそう。「私みたいなのが着る服はない」と思っていた。

 

コスメを堂々と買えたり、部屋に置けるようになったのも、二十歳をとうに過ぎてからだった。

 今考えればだいぶ自意識過剰で、それはそれでまあ恐ろしいことだ。

 

相手はプロだから、どんな人にだって気持ち良く対応してくれる。

と、開き直れば、なんてことないのだけれども。

 

コスメが欲しいだけならドラッグストアでいくらでも売ってる。

今となっては特にこだわりもない。でもあえてそれは外した。

ドラッグストアのBAさんも優秀なのだろうし、それでももちろんいいんだけど。

 

専門店の、あの独特の雰囲気の中に身を置くことが、なんだか今の私には必要な気がしたのだ。

今日はバイクで出勤したのでいつも以上に小汚い格好してるし、心境としてはもう、まさに苦行。

 

相手はプロ、と自分に言い聞かせ、自分を奮い立たせてBAさんに話しかける。

居心地悪い思いで席に座り、メイクをしてもらう。

 

心の中では、もう試さないでいいから人の頼まれ物だとか言って、現品だけ買って帰りたい、とも思う。

イカン、ちゃんとやらねば、と我慢する。

 

強張った体でも、やっぱり人に触ってもらうのは気持ちいい。

贅沢に化粧水やら美容液やら高いのを使うのも気持ちいい。

この気持ち良さが多分、心の余裕なのだ。自分を磨く物なのだ。

高い美容液の効能よりも、高い美容液使ってるよというソレが、内側から輝きを作るのだろう。

自信だったり、自然な笑顔だったりに繋がるのだろう。

 

BAさんの口臭や、手のひらの匂いや、慣れない化粧品の匂いが気になりつつ、覗いた鏡の中の自分は、肌のハリを取り戻していた。

そうそう、これよこれ、この感じ。

薄皮で隠す感じじゃなくて、どちらかというとつるんと剥いてもらう感じ。

結婚式のメイクさんとかにも思ったけど、本当にプロはすごいなあ。

 

なんとなくよかったような気がするものを所望し、いくばくかお金を払って、小さい紙袋を持って帰ってきた。

必要であれば通販でいくらでも買えた。

でもあえてこのプロセスが大事だったのだ。

 

そう、この小さい紙袋がいい。

先日家族の誕生日プレゼントに、某ブランドショップでお財布を買った時にも思った。

クリスマスプレゼントを買った男性が持って歩く、小さい紙袋にも思う。

これを持って歩くことこそが、可愛いとか憧れとか持ってるだけで幸せになるようなものとか

綺麗になりたいとか、心が温かいとかすきとか喜ばせたいとか

言わずして伝えたい思いとか、形式美とか、そういう「なんかいい感じ」の源。

通販にはなかなか出せないこの「なんかいい感じ」

 

うまく言えないけれど幸せの形、なのだと思うのです。