あえて中2的な例え話で振り返る昔話を書いてみる
自分のことを書くのはカタルシスでもあるし、気が滅入る作業でもある。
さきほどの投稿は、一気に書くとHPが目に見えて低下するので、
ぽちぽちとスマホで書き溜めていたものでありんす。
さて、今回は気分を変えて、もうちょっと違う話をしてみよう。
というのも、どうも私は前回の投稿を書くにあたり「あれ?私ってば趣味悪い?」みたいなうっすらとした疑惑が、ありありと確信へと近づいた気がしたからです。
んなこたねえよ。と。言いたい。(自分に)
私は仕事柄、色々なこじらせた人と日常的に話しているので、よくわかるのだけれど。
他人のことなら分かるけれど、自分のことを俯瞰してみるのはとても難しいのだ。
人は誰もが多少はこじらせている。
例えば私はいつも、欲張りにあれもこれもと抱えてしまう。
単に捨てるのが怖いだけなのだ。取りこぼしたくない。
モンハンはキークエ以外の採取や雑魚狩りもせっせとやるし、マリオのコインは全部取りたい。
やり切った時、さすがだねえと、周りはもはや「こういう人」として私をみる。
もちろん自分も、そういう人間だと思っている。
それを、「全部自分でやらんでいいの」と苦笑する人がいる。
自分だって全部自分でやるくせに。
今日はその人との思い出話をしよう。
中2っぽく例え話をするなら。
あの頃から、その人と私は、まるで仮想世界にいるように。
歪みの隙間にアジトを作って過ごしていた。
そこは騒がしくも不安定で、どこか懐かしくて、温かい場所。
薄い壁の向こう側のことが気になりながらも、何もそんな狭い所に入らなくてもってスペースに、強引に入り込んで隠れていた。
そこで、その人は私の破れたポケットを見て、「またあ…」と苦笑する。
自分でも薄々分かっている。
人はキャパを超えて抱え込むのだ。拾うのだ。
いつもそれで、プスプスしている。ポケットが破ける。
でも誰もがそんなの当たり前だ。
みんないっぱいいっぱいだもの。
だから人になんて優しくできない。
そしてトイレに座った瞬間や、お風呂で一息ついた時、眠りに落ちる瞬間、一瞬だけそんな自分をまた嫌になったりしてる。
必死に拾ったものが途端に下らないものに思えて、辛くなる。
例えば私が眠そうにしていると、寝ておいでと手を振ってくれる人は結構いる。
でもその人は一緒に隣にゴロンして、寝よか、とトントンしてくれる。
きっと、私より先に寝てしまうんだけど。
それで、ハッと起きて、しまった!ってなるんでしょ…とか思ってるうちに私も寝る。
そんなその人も、本当はキャパを超えているということ。
それでも「よし(勝手に)頑張ってこい」と突き放さず、ちょっと自分が頑張ってでも私を休ませようとする、こういう所にすごく救われていた。
頑張らないでいいって、上手く伝えるのは難しいのだ。
別にあなたには期待してないよって意味に聞こえるかもしれない。
じゃあ本当に頑張らなくていいのか、といえば、他のことでも頑張って欲しい部分があるかもしれない。
まあ、私が実際やってることって言えば「あ?あ?」って斜めに上目遣いになりながら、ジリジリ壁に追い詰めることだけど。
あれ?全然ダメじゃん私。
そんなその人が、どうやら良く分からないけれど、このアジトを出て、どこかへ行くと決めたらしい。
それが私にとって望ましい結論かどうかは別として、そういうの、カッコイイなあと思う。
同性とか異性とか関係なく、カッコイイと思う。
何かがきっと見えたのだろう。
なにやらモダモダしながら、私の隣で眠りながらも、先を見据えていた。
そして、いつも肝心なことは何も言わない人。
「なになに?どこ行くん?教えて!」と言ってみたが、軽くあしらわれた。
「えーもうちょっと一緒にゴロゴロしてようよー」とも思うけれど、そうもいかないらしい。
私にトントンしてくれる余裕は、もうないのですね。
まあ、それならそれで説明してよまったくーと思わなくもない、ふてくされている私。
今まで譲ってもらったぬくもりの分も、癒してもらった優しさの分も、とりあえず、旅立つという背中を見送ろう。
本当は私も一緒に連れて行って欲しいけど、悔しいことに私には道が良く見えない。
そもそも、本当は、ここから出たいと思っていたのは私なのだ。
二人がずっといられるほど広くはない。このままじゃいつかは壊れる、と。
その人は、扉が狭いから、一緒には出られない、無理だよと困っていた。
その人は、拾ってきたガラクタをドヤ顔でアジトに飾る私を、ニコニコ見ていてくれた。
自分の宝物を磨き直して、私に贈ってくれたりもした。
疲れた時はヨシヨシしてくれた。私はいっぱい話を聞いてもらって、隣で眠った。
私たちはそんな時間を、とても大事にしていた。
風が強い。
壊れそうなアジトの中で私たちは泣いた。
もうどうしようもなかったから、泣くしかなかった。
私よりもリアリストなその人は、ものすごく考えて、立ち寄る回数を減らして、なんとか損傷を抑えようとしたり、ご飯を食べずに痩せてみたりもした。
今にも破れそうな壁の補強を、必死でする私を見て、それも違う、と悲しい顔をした。
そんなことさせてちゃダメなんだと、苦しそうに言った。
そして何も置かず、何も約束せず、出て行った。
私はお手紙をいっぱい書いて鳩にくくって空に飛ばしたり
「拝啓~この手紙~読んでいるあなたは~」と歌ってみたり。
そのたび、ふんわりとした返事が律儀に来た。
頑張るのです。と書いてあった。
良くわからないけれど。
まあ、仕方ない。
私は、とりあえず荷物を整理してみよか。
よっこらしょと荷物を降ろす。
結構いっぱい拾ったな。
ポケットからいっぱい出てきた、あちこちで拾ったもの。
例えば土がついた石ころとか。
洗ったらきっと、すごく綺麗になると思ったんだ。
これなんか石英でね。いい色してる。
「またこんな拾って……お、いいもんあるねえ。」
って、一緒に見て笑って、面白がってくれて、見る目あるねなんて褒めてくれた、あの人を思い出す。
どうしてるだろう。
誰かこないかな。とアジトから頭を出す。
こんなんじゃ、いいもの拾ったってちっとも面白くないや。
そもそも他の誰にも見せたくない。
だってバカにされるもの。
ここにいるんじゃダメなんだろうな、とも思う。
でもいつか戻ってきてくれないかな、なんて、扉を叩く風の音にも飛び起きる。
たかだか数日の話のようで、本当は、もう何年もこうやって待っていたのだ、と気づいた。
どうしようかなあ。
外に出たら、誰も来なくなったら、ここは本当に飛んで行ってしまうだろうな。
寝たり起きたりして、ゆるゆると時間を潰した。
たまに仕事に行って、たまに家に帰って、たまにアジトでぼんやりして。
もらった宝物をみてニヤニヤしたり、しくしくしたり。
こんなアジト潰してしまえ、とガシガシしたり。
そんなことをしながら、気がつけば私も、ずいぶんと大人になった。
状況も環境も変わった。
どこかで頑張っているであろう、あの人を思う。
私は、心の底から本当にカッコイイと感じる。
なんらかの決断ができること。強さや優しさ。
玉石混交の世の中において、それは本物であると、美しいものだと。
私は、それが分かっているけれどもうしばらくはここにいるつもり。
この声が届くなら本当は、教えて欲しい。言いたい。
私はあなたがしてくれたように、一緒に休もうって言えなくてごめんなさい。
一体、何が見えたのかな。私にも、見えるのかな。
まだここにいる私は、大人にはなっていても、成長、できてないのかなあ。