花は折りたし梢は高し

とにかくいろいろうまくいかねーなってことを書いていこうと思います。

昔イケメンと言われるメンズと付き合っていた頃の話を書いてみる

昔イケメンと言われるメンズと付き合ってました。

 

そんな彼のことを、この時期になると思い出すのです。

そんなことを恥ずかしげもなく書こうと思います。

この話はオチがなくて、割とガチです。

 

強いてオチを書くならば二股かけているのを私にバレた時に

「今お前の前でちゃんと別れ話するから!」と男が構えた携帯を制し

「いや向こうの子は悪くないし傷つけちゃいかん」

と言って身を引いた更に男前な女の存在(=私)を知る由もなく

結局その彼女と結婚したらしいヤツがおったが。

めでたいな。ハハッ。爆発しろ。

顔がいい男ってのはアレだ。ロクなのがおらん。

って、負け惜しみなんかじゃないんだからね!!!

 

と、今回はその話はさておき、それ(それ呼ばわり)と付き合うよりも

更にずーっと前に付き合っていたイケメンという言葉が出てきた頃の

別の彼の話をしましょう。

 

彼はそりゃあもう、私にはもったいないくらいのハイスペック男子。

家柄も学歴も素晴らしく、女性の扱いにも長けており、

見た目も「かっこいいね!」と必ず言われるような彼。

少女漫画のようなシンデレラストーリーを経て、

腐女子だった私と付き合ってくれた、アメージング!な存在でした。

(おかげで今の現実はクサクサ。確実使い果たしたな。)

 

さて、そんな彼は私にいろんなことを教えてくれました。

 

いつも自然に手を取ってくれるから、私たちはよく手をつないでいました。

恥ずかしくて、なんだか申し訳ないような気持ちになったけれど、

その手は大きくて、私よりもちょっとひんやりとしていました。

 

そして、ことあるごとに、こともあろうか腐女子で見た目も今ひとつよりも

かなり贔屓目に見ても悪い方寄りな私に「好きだよ」と伝えてくれました。

私はそのたび、ばつの悪く目をそらしているだけでした。

 

好意を寄せてもらえるような、自分じゃないと思っていたのです。

自分(の見た目を含む全体)に自信がなかったのです

 

けれど彼は根気強く、私の良いところをほめ続けてくれました。

 

気がきくとか、感受性が強いとか、瞳がきれいとか、声聞くと落ち着くとか

中にはもはやホストがいかに女を褒めるか、の参考にしそうなレベルに

よくわからないものもありましたが。

(あっ、お金とか騙し取られてないからね!)

 

「あなたは相手の見た目は気にしないの?」

思い切って聞いてみたのです。

それは本当のコンプレックスだったからこそ、ずっと口にできなかったことでした。

「え?いや気にするよ?」

読んでいた本から目を上げて、大きくぱちぱちっとまばたきしたあと、彼はさらっと答えました。

「でも。」

次の言葉が出ない私を、彼はパタンと本を閉じて、じっと見ました。

 

……僕は同性愛者ではないけど、あなたが男だったとしても、きっと好きになってた。」

「それは友達としてというのと、どう違うの?」

「簡単なこと。大好きになった相手と付き合いたいなって思うでしょ?

一番好きな人と一番近くにいたいっていうのは、至極当たり前。」

「男だったら?」

「うーん親友になって、それで我慢できなくて、やっぱり?」

腐女子なので、それはなんとなく分かる………

って、それちょっと違うな。

 

「じゃあ大根だったら?」

ブッと噴き出されました。

「だ、大根って……。だからそういうとこだって。大根でも異星人でも、好きになってたけど?」

 

なんだか根本的な答えになっていない気が。

 

眉間にしわを寄せて、黙り込んだ私に、彼が続けました。

「見た目だけで好きになる訳じゃないでしょ?

だけど、好きになる時は見た目もひっくるめた全部が好き。そういうもの。」

私の眉間のしわをツンツン突っついて、言ったのです。

 

全私が震えました。

 

そんなやりとりの帰り、連日の雨が止んだ中

彼と手をつないで夜空を見上げて散歩をしていました。

 

彼の語る星のうんちくやら黙って聴きながら、私はどれも同じ星に見えたけれど、

ドヤ顔で語る彼を見ているだけで楽しい気分になったのを覚えています。

 

離れがたくて、公園のベンチに座って、手をつないで首が痛くなるまで空を見ていました。

ふいに首が痛くなって頭を下ろしたら、こちらを彼が見つめていました。

「好きだよ?」

語尾が、確かめるような、疑問形。

つないだ手に、力が入った。

私は握り返しました。

それだけで、伝わると思ったのです。

彼ははふわっと笑いました。

その笑顔を見た瞬間、どうして時間は流れるのだろう、

どうしてこの時間は永遠じゃないのだろうと真剣に思ったのです。

 

そんな気持ちを、この時期になると思い出します。

 

見た目にコンプレックスを持っていた私も

それなりに身だしなみにも気を使えるようになり

(見た目にコンプレックスがあると

オシャレすら、しないのではなくできないのです。

その辺の話は今度また。)

人並み程度に見た目だけは武装することができるようになり

おかげで新興宗教のように私に傾倒されたり溺愛されたり

ダメンズのおかんのようになって振り回されたりという

偏った恋愛遍歴を歩むことになるわけですが。

 

思い出以外であの笑顔に会うことはもうできません。

縁があえばまた会えるさ!なんて気休めも通じない

高次の存在となってしまいました。

「お前がやれと言ったから」と、殺人をしかねない信者のような人はいても

「大根でも異星人でも好き」とやわらかく笑ってくれる人はいません。

 

そして今は、大好きな男性ができると、ずっと一緒にいたいのベクトルが

ああ同性でいたかったわあと願う方向に進むBBAに成り下がりました。

(恋愛っていうものが不自由な年なのですヨボヨボ。)

 

雨上がりの匂いで思い出した、この気持ちや

こういう「忘れたくないなあ」は気づけばたくさんあるなあと気がつき

書いてみることにしました。